富士電機産業(上海)有限公司
【設問】
「約200kWの負荷で使用されている1000kVAの古い変圧器があるが、新たに約600kWの負荷が加わる場合、この変圧器で対応できるだろうか?」
※kVAは皮相電力、kWは有効電力の単位です。 皮相電力と有効電力に加えて無効電力もあり、無効電力の単位はkvarです。
【有効電力、無効電力、皮相電力の違いは?】
有効電力とは、電気機器の実際の消費電力、つまり電気エネルギーを他のエネルギーに変換することです。 例えば、誰もが毎日支払っている電気代は有効電力を元に算出されています。
無効電力とは、機器によって実際には消費されず、一時的に蓄えられるだけの電力のことです。 例えば、電力機器の内部にコンデンサー/コイルがある場合、機器が動作している間は、コンデンサー/コイルは常に充電と放電を繰り返している状態になります。 コンデンサー/コイルは常に充放電しており、実際には電力を消費していません。この電力を無効電力と呼びます。
皮相電力とは、電源側が供給する総電力のことです。
電源(一般的に変圧器や発電機を指す)は、機器に有効電力を提供する必要がありますが、一方で無効電力も提供する必要もあります。 実際に電源装置内のコンデンサーは電力を消費しませんが、充放電しているため、電源の容量の一部を占有することとなります。
以上3種類の電力を理解した上で、「力率」という概念を見てみましょう。電源装置がどれだけの有効電力を供給できるかは、その「力率」によって決まります。
【力率について】
力率とは、皮相電力に対する有効電力の割合であり、一般にcosφで表されます。
例えば、
1000kVAの変圧器を使用
力率cosφ=0.6の場合、600kWの有効電力を出力できます。
力率cosφ=0.9の場合、900kWの有効電力を出力できます。
【本文】
以上のことから冒頭の設問に対しては、以下のような回答になります。
変圧器の容量はkVAを用い、電気機器の電力はkWを用いますが、変圧器に負荷を接続する際には有効電力に力率を除した値である皮相電力を求める必要があります。
例えば、1,000kVAの容量を持つ変圧器は、力率が1の場合、理論的には全負荷で1,000kWを供給できます。しかし実際には不可能です。
変圧器を設計する時に、一定の容量余分を残す必要があるため、一般的には90%の掛け率の計算に従って、1000 kVA×0.9=900kVAにします。力率補償を行った場合、力率を0.95にすると、変圧器は900kVA×力率0.95=855kWの有効電力を出力することができます。
注:電力会社は力率が0.85以上であることを推奨しており、0.85を上回る場合は基本料金の割引、0.85未満の場合は基本料金の割り増しがあります。
(すべての電力会社にあてはまるわけではございません)
設問によると、1000kVAの変圧器はもともと200kWの電力機器に電力を供給していたが、現在は600kWの電力機器が追加され、電力機器の総有効電力は800kWに達しています。有効電力の計算上では1000kWに達しておりません。
したがって、もともと200kWの電力を供給していた1000kVAの変圧器に600kWの電力が加わった場合でも、力率を必要な値まで高めることができれば、長期間にわたって安全に運転することは十分可能です。
最後に、富士電機の乾式変圧器は、油入変圧器に比べ、難燃性、高い信頼性、メンテナンスの容易さ、高いエネルギー効率と長寿命などの多くの利点を備えています。少しでもご興味がございましたら、お気軽にご連絡頂ければ幸いです。